派遣社員も健康診断を受けられる？負担費用や受診の流れを解説
更新日 2025/07/11
派遣社員として働きたいと思っている方のなかには、健康診断を受けられるのか気になっている人がいらっしゃるかもしれません。
この記事では、派遣社員が健康診断を受ける際の基本的な流れや必要な条件、さらには費用負担について詳しく解説します。
一般健康診断と特殊健康診断の違い、受診に際しての具体的な手続きについてもステップごとに説明するので、ぜひ参考にしてください。
目次
派遣社員でも健康診断を受けられる
派遣社員の健康診断の費用負担
派遣社員が健康診断を受ける際の流れ
派遣社員でも健康診断は定期的に受診しよう
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1.派遣社員でも健康診断を受けられる
結論として、派遣社員にも正社員と同様に、健康診断を受ける権利があります。
ここでは、派遣社員に対する事業者の義務や健康診断の種類、具体的な診断項目について詳しく解説していきます。
事業者は派遣社員に健康診断を行う義務がある
事業者には、従業員に対する安全配慮義務が課されており、健康診断を実施することで従業員の健康状態を把握し、疾病の早期発見や健康の増進、職場環境の維持・改善を図ることが求められています。
健康診断の対象範囲は原則すべての労働者を対象としているため、正社員のみならずパートや契約社員、派遣社員であっても一定の条件を満たせば受診の対象になります。
派遣社員が健康診断を受けるためには以下の条件をふたつとも満たす必要があります。
無期雇用の派遣社員もしくは１年以上継続して雇用されているか雇用の見込みがある有期雇用の派遣社員であること（有害業務に従事する有期雇用の派遣社員の場合は、6ヶ月以上の雇用見込みがあること） 週の所定労働時間が同種の業務に従事する通常の労働者の3/4以上である派遣社員であること
派遣社員が定期的に受ける健康診断は、労働安全衛生法に規定された事業者の義務として雇用主である派遣会社が実施する必要があります。
一方、派遣社員が定期的な健康診断を受けるどうかは、プライバシーの観点からその派遣社員の意向次第と思われるかもしれませんが、派遣社員自身にも受診の権利とともに健康診断を受ける義務があります。
派遣社員は、正当な理由がない限り健康診断を拒否できないため、派遣会社からの指示に従い必ず受けるようにしてください。
一般健康診断と特殊健康診断の違い
健康診断には、大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断の2種類があります。
一般健康診断には、雇入時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断などがあり、血圧の測定、血液検査、尿検査などの基本的な検査項目がベースとなっています。
実施時期は以下のとおりです。
雇入時健康診断は、常時雇用する労働者（無期雇用労働者および１年以上継続して雇用されているか雇用の見込みがある有期雇用労働者）を雇い入れる際に実施しなければなりません。 定期健康診断は、常時雇用する労働者に1年以内ごとに1回実施しなければなりません。 特定業務従事者（著しく暑熱な場所・寒冷な場所・有害放射線にさらされる場所での業務、身体に著しい振動を与える業務、深夜業を含む業務など労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる特定業務に従事する労働者）の健康診断は、その業務に配置換えの際と6か月以内ごとに1回実施しなければなりません。一般健康診断には、他にも海外派遣労働者の健康診断や給食従業員の検便が含まれます。
特殊健康診断は、有害業務に常時従事する労働者に対して職業性疾患の早期発見と早期治療ならびに健康障害リスク低減のための作業環境・作業方法の改善を目的とするもので、原則、雇入れ時・配置替えの際と6か月以内（※は、時期期間が異なります。）ごとに1回の頻度で実施しなければなりません。
有害業務は以下のとおりです。
有機溶剤業務 鉛業務 四アルキル鉛等業務 （3ヶ月以内ごとに1回）※ 特定化学物質の製造または取り扱う業務 高圧室内業務又は潜水業務 管理区域に立ち入り行う放射線業務 除染等業務 石綿の粉じんを発散する場所における業務 じん肺健診：常時粉じん作業に従事する業務 （1～3年以内ごとに1回）※ 歯科医師による健診：塩酸・硝酸、硫酸など歯や歯茎に有害な物質を取扱う業務特殊健康診断には、有害業務ごとに特殊な検査項目があります。
派遣社員の場合、一般健康診断は派遣会社が実施する義務を負いますが、法定の有害業務に従事する派遣社員が受ける特殊健康診断については、派遣先に実施する義務があります。
健康診断の項目
定期健康診断については、労働安全衛生規則第四十四条に以下の検査項目が定められています。
既既往歴及び業務歴の調査 自覚症状及び他覚症状の有無の検査 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査 胸部エックス線検査及び喀痰検査 血圧の測定 貧血検査（血色素量及び赤血球数） 肝機能検査（ＧＯＴ、ＧＰＴ、γ―ＧＴＰ） 血中脂質検査（ＬＤＬコレステロール，ＨＤＬコレステロール、血清トリグリセライド） 血糖検査 尿検査（尿中の糖及び蛋白の有無の検査） 心電図検査ただし、身長の検査、腹囲の検査、胸部エックス線検査、喀痰検査、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査については、厚生労働大臣が定める基準に基づき医師が必要でないと認めるときは、省略することができます。
疾患によっては、必ずしも早い段階で自覚症状が現れるとは限りません。
早期発見・早期治療のためには、自身の健康状態をしっかりチェックする必要があります。
気付いたときには手遅れとならぬよう定期的に健康診断を受けることで健康維持に努めましょう。
2.派遣社員の健康診断の費用負担
ここからは、派遣社員の健康診断の費用負担について、以下の4つの項目に絞って解説します。
(1) 受診費用
(2) 支払い方法
(3) 交通費
(4) 健康診断当日の賃金
それぞれ見ていきましょう。
(1) 受診費用
健康診断の実施は事業者の義務ですから、派遣社員の一般健康診断の受診費用は、労働安全衛生法に定められた基本検査項目の範囲において派遣会社が全額負担します。
ただし、基本検査項目以外で、生活習慣病予防健診や乳がん検診・子宮頸がん検査などのオプション検査を希望する場合は、原則的に派遣社員の自己負担となります。
派遣会社または健康保険組合によってオプション検査の費用補助を受けられる場合がありますので、気になるオプション検査がある場合は、派遣会社に確認しておくとよいでしょう。
なお、法定の有害業務に従事する派遣社員が受ける特殊健康診断については、派遣先に費用を負担する義務があります。
(2) 支払い方法
健康診断の支払い方法は、派遣会社によって異なりますが、主に以下の方法が一般的です。
・会社からの直接支払い
・社員が立て替え払い、後日精算
会社が直接支払う方法では、社員は特に手続きを行う必要がありません。
一方、立て替え払いの場合は診断後に領収書を提出し、後日精算を受ける形となります。
そのため、診断時には領収書を忘れずに受け取り、忘れず提出しましょう。
(3) 交通費
健診機関への交通費は、支給されないケースが多いです。
とはいえ、派遣会社により指定されている健診機関は異なるものの、職場や自宅近くの健診機関での受診が一般的です。
そのため、高額な交通費がかかるわけではありません。
なお、派遣会社によっては交通費が支給される場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
(4) 健康診断当日の賃金
一般健康診断は、業務遂行との直接の関連で実施されるものではないので、休日を利用して受診することも可能です。
また、受診に要した時間相当分の賃金については、事業者に支払い義務はなく、労使間の協議によってその支払いの有無を定めるべきものとされています。
一方、事業者には従業員に健康診断を受けさせる義務がありますから、円滑に受診させるために、勤務時間内に定期健康診断を受けさせて、受診に要した時間分の賃金を支払っている場合もあります。
なお、特殊健康診断は業務の遂行に関して、労働者の健康確保のため当然に実施しなければならないので、受診に要した時間は労働時間であり、事業者は賃金の支払いが必要です。
3.派遣社員が健康診断を受ける際の流れ
派遣社員が健康診断を予約は、①派遣会社が代行予約する、②派遣先が代行予約する、③本人が直接予約する、の主に3つのパターンがあります。
今回は、派遣社員本人が直接予約を行う場合の健康診断の流れをご紹介します。
(1) 派遣会社から健康診断のお知らせが届く
(2) 直接予約を取る
(3) 当日は予約をした健診機関で受診する
(4) 健康診断の結果が自宅に届く
一つずつ解説します。
(1) 派遣会社から健康診断のお知らせが届く
派遣社員は、まず派遣会社から健康診断のお知らせを受け取ります。
通知の内容には以下の情報が含まれています。
・受診可能な期間
・指定の健康診断機関
・必要な書類や持ち物
通知を受けたら、まずは受診可能な期間を確認しましょう。
指定された機関以外での受診は認められない場合が多いので注意が必要です。
さらに、持参する書類や持ち物を事前に準備し、当日にスムーズに受診できるようにしておきましょう。
(2) 直接予約を取る
派遣会社からのお知らせを受け取った後は、指定された健康診断機関で直接予約を取ります。
予約時に気をつけるべきポイントは以下の通りです。
・受診可能な日程の確認
・予約方法（電話やオンラインなど）
・必要な情報の準備（社員番号や氏名など）
希望する日程がすでに埋まってしまうこともあるため、通知を受け取ったら速やかに予約を進めましょう。
万が一、指定された期間内に予約が取れない場合は、派遣会社に相談して指示を仰ぐと良いでしょう。
また、派遣会社によっては、健康診断の予約を代行してくれるケースもあります。
この場合は、直接予約を取る必要はありませんが、受診日時や当日の持ち物などを、送られてきたお知らせや、派遣会社の担当者に確認しておくと安心です。
(3) 当日は予約をした健診機関で受診する
予約した日に指定の健康診断機関を訪れ、健康診断を受けます。
当日の流れとしては以下の通りです。
・受付での書類提出
・検査項目の確認
・検査の実施
まず、受付で事前に案内された書類を提出します。
その後、検査項目を確認し、順に検査を受けます。
スムーズに検査を終えるためにも、時間に余裕を持って訪れ、何か疑問があればスタッフに確認しましょう。
(4) 健康診断の結果が自宅に届く
通常、健康診断を受けてから数週間以内に結果が自宅に届きます。
届いた結果は必ず内容を確認し、「要再検査」などの項目がある場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
派遣会社によっては、結果の報告を求めることもあるため、その際は指示に従い報告を行いましょう。
4.派遣社員でも健康診断は定期的に受診しよう
本記事では、派遣社員が健康診断を受ける際の基本的な流れや必要な条件、費用負担について解説しました。
派遣社員であっても、健康診断の受診は可能です。
派遣会社によって受診の流れや費用負担は異なるため、確認するようにしましょう。
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