低血糖が疑われる人には診察や検査が行われます。血糖値が診断のポイントになるので、特に血液検査が重要です。また、低血糖の原因の検索や他の病気との鑑別(見分けること)のために画像検査が行われることがあります。
患者さんとお医者さんの対話による診察を問診といいます。問診では患者さんの身体の状況や背景が確認されます。患者さんは自分の困っている症状をお医者さんに伝え、お医者さんからは、症状の詳しい内容や今までにかかった病気、持病、定期的に飲んでいる薬についての質問を受けます。
低血糖が疑われる人への問診の具体例は次のものです。
どんな症状があるのか症状はいつからあるのか過去に同じような症状を経験したことがあるか現在治療中の病気はあるか定期的に飲んでいる薬はあるか低血糖が重症化すると、意識がなくなったり、つじつまの合わない発言のために、問診が上手く進まないことがあります。その場合は、周りの人がお医者さんからの質問に答えてください。特に、糖尿病の持病がある人に意識状態の変化が起こった場合は、低血糖が有力な原因と考えられます。糖尿病の有無については忘れずに伝えるようにしてください。
身体診察はお医者さんが身体をくまなく調べることで、いくつか種類があります。具体的には、バイタルサイン(脈拍数・呼吸数・体温・血圧・意識レベル)の測定や視診(身体の表面の観察)、聴診(聴診器を使って身体の中の音を聞くこと)などです。問診で得た情報をもとに身体診察を行うことで、症状の原因をさらに絞り込むことができます。
低血糖が疑われる人にとって血糖値を調べる血液検査は重要です。血糖値が基準値を下回っていれば、低血糖によって症状が起こっている可能性が高いと考えることができます。また、血液検査からは電解質の異常や臓器の状態も知ることができるため、他の病気との区別にも使われます。例えば、意識障害は低血糖でみられる症状ですが、低ナトリウム血症(血液中のナトリウム濃度が低下した状態)や肝性脳症(肝臓の機能が低下することで起こる状態)、尿毒症(腎臓の機能が低下することで起こる状態)でもみられる症状です。血液中のナトリウムの濃度や肝臓、腎臓の状態は血液検査から知ることができるので、低血糖以外の原因の有無のチェックに役立てられます。
画像検査は身体の中を画像化して調べる検査のことを指し、超音波検査やCT検査、MRI検査などが含まれます。画像検査の目的は「他の病気と鑑別(見分けること)すること」と「低血糖の原因を探すこと」の2つです。ただし、原因が明らかなために必要性に乏しい場合は、画像検査が行われないこともあります。
診察や他の検査から、低血糖以外の病気の可能性がある場合に画像検査が行われます。例えば、低血糖でみられる意識障害は、脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)や脳腫瘍といった病気でも現れることがあります。これら脳の病気と低血糖とを見分けるには、頭部CT検査や頭部MRI検査が役立ちます。
まれな原因ですが、低血糖を起こす腫瘍があります。低血糖を起こす腫瘍として代表的なインスリノーマは主に膵臓(お腹の中にある臓器)に発生します。膵臓は腹部の超音波検査やCT検査、MRI検査によって詳しく調べることができます。
【参考文献】
「ハリソン内科学 第5版」(福井次矢、 黒川 清 /監修)、MEDSi、2017
「ワシントンマニュアル 第13版」(髙久史麿、和田 攻/監訳)、MEDSi、2015
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