職場における健康診断は、労働者の健康状況を把握するための基本となる対策です。
労働者個人にとっては疾病の早期発見、健康確保のための健康意識の向上等の意義があり、事業者にとっては健全な労働力の確保のため、医師の意見を勘案したうえで、労働者が当該作業に就業してよいか(就業の可否)、当該作業に引き続き従事してよいか(適正配置)などを判断するためのものです。
また健康診断は、健康状況の経時的変化を含めて総合的に把握したうえで、労働者が常に健康に働けるよう保健指導、作業管理あるいは作業環境管理にフィードバックしていかなければなりません。
常時雇用する労働者を雇い入れる際に実施しなければなりません。
健康診断項目
省略基準(医師の判断による)
●既往歴及び業務歴の調査
●自覚症状及び他覚症状の有無の検査
●身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
●胸部エックス線検査
●血圧の測定
●貧血検査(血色素量及び赤血球数)
●肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
●血中脂質検査( LDLコレステロール、 HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
●血糖検査
●尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
●心電図検査
雇入時の健康診断は、医師の判断により省略可能な項目はありません
常時雇用する労働者に1年以内ごとに1回実施しなければなりません。
健康診断項目
省略基準(医師の判断による)
●既往歴及び業務歴の調査
●自覚症状及び他覚症状の有無の検査
※1…聴力検査は、45歳未満の者(35歳及び40歳の者を除く)については医師が適当と認める聴力(1,000ヘルツまたは4,000ヘルツの音にかかる聴力を除く)検査方法によることができます
※2…腹囲の検査は、40歳未満の者(35歳を除く)、妊娠中の女性、BMI20未満である者、自ら腹囲を測定し申告した者は省略可
■■胸部エックス線検査と喀痰検査の省略基準■■
項目省略することができる者胸部エックス線検査40歳未満の者(20歳、25歳、30歳および35歳の者を除く)で、次のいずれにも該当しないもの
労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる特定業務(※3)に常時、従事する労働者に対しては、当該業務への配置換えの際および6か月以内ごとに1回、定期に、定期健康診断と同じ項目の健康診断を行わなければなりません。
〇特定業務一覧(※3)
イ)多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ)多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハ)ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
ニ)土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ)異常気圧下における業務
ヘ)さく岩機、鋲(びよう)打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務
ト)重量物の取扱い等重激な業務
チ)ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ)坑内における業務
ヌ)深夜業を含む業務
ル)水銀、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ)鉛、水銀、クロム、砒(ひ)素、黄りん、弗(ふつ)化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ)病原体によつて汚染のおそれが著しい業務
カ)その他厚生労働大臣が定める業務
※胸部エックス線検査及び喀痰検査は、1年以内に1回、定期に行えばよいとされています
労働者を6か月以上海外に派遣させる際と、6か月以上海外に派遣した労働者を帰国させて国内の業務に従事させる際に実施しなければなりません。
定期健康診断の項目に加えて、医師が必要と認めた場合に下欄の項目が追加されます。
また、定期健康診断等で40歳未満(35歳を除く)に対して認められている血液検査及び心電図検査は省略できません。
●腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査)
●血液中の尿酸の量の検査
●B型肝炎ウイルス抗体検査
●ABO式及びRH式の血液型検査(派遣前に限る)
●糞便塗抹検査(帰国後に限る)
給食業務に従事する労働者を対象に、雇入れの際または配置替えの際に実施します。
特殊健康診断は、
①職業性疾患を早期発見して早期治療に結びつけること
②有害要因のばく露程度を評価し、健康障害リスクを低減させるために作業環境や作業方法の改善に生かすこと
③個別の労働者について、就業場所の変更、作業の転換、労働時間等の短縮を講ずること
を目的として実施されます。
◎法令に基づく特殊健康診断
特殊健康診断の種類健康診断の種類対象となる労働者実施時期じん肺健康診断◎行政指針・指導・勧奨による健康診断
1紫外線・赤外線にさらされる業務2著しい騒音を発生する屋内作業場などにおける騒音作業3マンガン化合物(塩基性酸化マンガンに限る。)を取り扱う業務、又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務4黄りんを取り扱う業務、又はりんの化合物のガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務5有機りん剤を取り扱う業務又は、そのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務6亜硫酸ガスを発散する場所における業務7二硫化炭素を取り扱う業務又は、そのガスを発散する場所における業務(有機溶剤業務に係るものを除く。)8ベンゼンのニトロアミド化合物を取り扱う業務又はそれらのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務9脂肪族の塩化又は臭化化合物(有機溶剤として法規に規定されているものを除く。)を取り扱う業務又はそれらのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務10砒素化合物(アルシン又は砒化ガリウムに限る。)を取り扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務11フェニル水銀化合物を取り扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務12アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基又はエチル基であるものを除く。)を取り扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務13クロルナフタリンを取り扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務14沃素を取り扱う業務又はそのガス、蒸気若しくは粉じんを発散する場所における業務15米杉、ネズコ、リョウブ又はラワンの粉じん等を発散する場所における業務16超音波溶着機を取り扱う業務17メチレンジフェニルイソシアネート(M.D.I)を取り扱う業務又はこのガス若しくは蒸気を発散する場所における業務18フェザーミル等飼肥料製造工程における業務19クロルプロマジン等フェノチアジン系薬剤を取り扱う業務20キーパンチャーの業務21都市ガス配管工事業務(一酸化炭素)22地下駐車場における業務(排気ガス)23チェーンソー使用による身体に著しい振動を与える業務24チェーンソー以外の振動工具(さく岩機、チッピングハンマー、スインググラインダー等)の取り扱いの業務25重量物取扱い作業、介護作業等腰部に著しい負担のかかる作業26金銭登録の業務27引金付工具を取り扱う作業28VDT作業29レーザー機器を取扱う業務又はレーザー光線にさらされるおそれのある業務群馬県検診機関連絡協議会施設 特殊健康診断実施内容一覧(PDF: 4KB)
働く方が職業生活の全期間を通して健康で働くことができるようにするためには、事業者が働く方の健康状態を的確に把握し、その結果に基づき、医学的知見を踏まえて、働く方の健康管理を適切に講ずることが不可欠です。
1.健康診断の結果の記録
健康診断の結果は、健康診断個人票を作成し、それぞれの健康診断によって定められた期間、保存しておかなくてはなりません。
2.健康診断の結果についての医師等からの意見聴取
健康診断の結果に基づき、健康診断の項目に異常の所見のある労働者について、労働者の健康を保持するために必要な措置について医師(歯科医師による健康診断については歯科医師)の意見を聞かなければなりません。
3.健康診断実施後の措置
●医師または歯科医師の意見を勘案し必要があると認めるときは、
①就業場所の変更
②作業の転換
③労働時間の短縮
④深夜業の回数の減少等
適切な措置を講じなければなりません。
●作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備等の措置を講じなければなりません。
●医師等の意見を衛生委員会等へ報告しなければなりません。
4.健康診断の結果の通知
健康診断を受けた労働者に対し、健康診断の結果を通知しなければなりません。
5.健康診断の結果に基づく保健指導
健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。
5.健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告
健康診断(定期のものに限る)の結果は、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。
※安全衛生規則44条、45条、48条の健康診断結果報告書については、常時50人以上の労働者を使用する事業者、特殊健診の結果報告書については、健診を行った全ての事業者
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网址: 健康診断を実施しましょう ~労働者の健康確保のために~ https://m.trfsz.com/newsview1541891.html